相続を取り巻く環境は、平成27年に施行された相続税改正によって大きく変わっています。
国は、相続税の税収を確実に増やすことができました。
相続税|国税庁の資料(数値は国税庁の報道発表資料を参照)
改正前の相続税額は、改正前5年の平均が年間1兆3000億円規模でした。
改正後の相続税は、改正後5年の平均で、年間2兆円規模になっています。
年間7000億円規模で増加しています。
改正後、相続税を払う人が2倍になっている
相続税については、「うちには関係ない」と考えている人が多いです。
確かに、割合を考えると、相続が発生した中で、相続税を払う方の割合は、改正前は4.4%でしたので、25人に1人の割合でした。
しかし改正後は、平均8.3%に上がっています。
約13人に1人が、相続税が課税される対象者に増えています。
具体的な人数では、改正前は55万人〜56万人でした。
改正後は、平均110万人に倍増しています。
*相続税の改正内容は、起訴控除額の引き下げと法定相続人の一人当たり控除額の引き下げでした。相続税が発生するラインを引き下げたのですから、従前は対象外だった人たちが相続税の対象となるようになるのです。実質的な増税です。
相続財産の中で最も多いのは「土地」
国税庁が示している相続財産の内訳は次の通りです。
- 土地
- 現金・預貯金
- 有価証券
- その他(生命保険など)
- 家屋
実は、この中で最も多いものが、土地です。
過去10年間を振り返ると、土地の割合は14ポイントほど下がりました。
それでも、令和元年の例では、土地が34.4%も最も多いのです。
推測ではありますが、空き家対策特措法が進むようになり、土地の相続が減少したものと思われます。
平成22年には、相続財産の50%近くが土地でした。
相続した土地は現金のように分割できない
改めて説明するまでもありませんが、土地は、他の相続財産と違い、数値的に分割できる財産ではありません。
ですので、土地を売却して現金に変えて分けるという方法か、とりあえず共有名義にして、そのご様子を見るという方法です。
共有名義にする場合、3年10ヶ月以内に売却すれば、特例の対象にもなるのですが、数年間放置されている事例も珍しくありません。
不動産会社として、相続案件に携わってきた経験から言いますと、一旦共有名義にされたとしても、最善なのは、3年10ヶ月以内に売却することです。
次に有効なのは、なるべく早く売却することです。
有効な売却時期をスルーしてしまい、その後売却困難になったり、揉めたりすることなど、想像以上にたくさんあるからです。
共有者が海外に移住
最近は、身近な方が海外に住んでるということが、珍しくない現象です。
もし、その方が、居住地を親兄弟に、知らせている場合は連絡が取れますが、例えば「アメリカのどこか」などという認識しかなくなると、共有名義の土地売却について相談することも難しくなります。
司法書士や弁護士に、職権を使って、探してもらうようなことになります。
時間も経費も非常にかかります。
ですので、そうならないうちに、共有名義財産は、売却について相談をしておくべきなのです。
共有者がなくなり代襲相続
例えば、兄弟で相続登記をしたような場合、数年後に共有登記したうちの一人が亡くなる、というケースがあります。
すると、その子供が代襲相続をします。
さらに、他の共有者も亡くなるようなことあると、その子供も代襲相続となります。
兄弟同士が仲良く過ごしてきたとしても、その子供との関係性になると、微妙です。
さらには、代襲相続人同士で、共有している財産の売却の相談をするような場合には、なかなかスムーズに進んでいかなくなります。
世の中にある、空き家のまま、空き地のままで、ずっと放置されたままの不動産というのは、そのような可能性があります。
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