2020年8月時点において、「相続登記の義務化」は決定していませんが、来年にも決定する可能性が大です。
ご存知でしたでしょうか。
2019年12月の法制審議会で、取りまとめられています。
その改正内容は、次のとおりです。
1)相続によって不動産を取得した相続人に対して、相続登記を義務付ける
2)相続登記手続きを簡略化する
3)遺産分割の手続きが速やかに、一定期間内に行われなければ、法定相続分に基づいて、相続したものとする
4)土地の所有権放棄を認める
5)相続登記の義務化に違反すれば、罰則がある
つまり、「不動産の相続登記は、速やかに行ってください。行わない場合は、罰則があります。遺産分割でもたもたしていると、法定相続分で相続とします。」ということなんです。
相続登記が義務化される原因と思われること
なぜ、こんなことになったかと言いますと、元々は、日本全国中に、あふれそうになっている「老朽した空き家」が原因になっています。
日本全国の空き家の数が過去最高の846万戸(平成30年の統計|5年ごとの調査による住宅・土地統計調査/総務省統計局)にまで膨らんでいるからです。
中でも、木造戸建ての増加が前回調査から、19万戸弱増加しています。
これらの空き家は、日本全国に放置されている状況です。
当然、近隣に老朽化した空き家があれば、衛生的にも、防犯上でも、近隣住民は不安を感じます。
庭木等も放置され、伸び放題となり、歩道を通る通行人にも悪い影響が出るようになります。
そこで政府は、平成26年に「空き家対策特措法」を制定し施行されました。
「管理できない空き家は解体しなさい。固定資産税の固定資産税の特例(建物がある場合、土地の固定資産税を6分の1にする)の解除をします。」という内容でした。
各市町村では、所有者を追跡し、指導を考えていたと思います。
空き家対策特措法が施行されても空き家が増え続ける
現実には、相続登記がきちんとなされていない物件が多く、特措法が施行されても、指導もできない状況であったものと思います。
5年前に空き家対策特措法が施行された後、老朽戸建ての売却は増加しました。
全国でも、一定の戸数は、解体されて売却されたり、賃貸用土地として利用されるように、進みました。
しかし、実際には、増える空き家の数は、その後も増え続けています。
そこで、相続登記の義務化が法案化される方向になったものと思います。
きちんと相続登記を行っている方にとっては、不思議な現象かもしれませんが、よくあるケースでは、次のような事例があります。
1)仮に、父親が亡くなり、相続があったとします。
2)遺産分割が行われ、不動産については、母が住むために、母の名前で相続する。
3)次に、母が亡くなり、相続人が、子供だけとなった場合に、子供のうちの誰もが住む予定がないのに、「思い出が残る不動産を売却するなんて・・・」「忙しいから、そのうちに、考えよう・・・」などと、放置しているケースです。
4)残念なことに、口では「売却するなんて考えられない」「そんな薄情なことはできない」と言いつつ、不動産の管理はなされず、地域では、衛生面でも、防犯面でも、隣近所に迷惑をかける不安のある困った不動産になってしまいます。
こういった状況を改善するために、政府では、相続登記の義務化をすすめて、困った空き家が増えないように、責任を持って管理をするか、売却等をするように、指導する目的があるものと思います。
もし、当記事を読んでいる方で、心当たりのある方がいらっしゃるようでしたら、2021年には法令が施行される可能性が大ですので、相続登記及きちんとした管理か、売却をするようおすすめします。
他の選択肢として、空き家バンクに登録をして、賃貸として貸し出す方法もあります。
しかし、素人の方が、賃貸主=大家として、賃借人に対して行く苦労を考えれば、おすすめはしません。
家賃収入は発生しますが、固定資産税の支払いと住宅を維持していく費用(大谷が負担する)や、賃借人からの苦情に対するストレスが、大家になると、大きな負担になります。
複数の不動産を所有し、賃貸をするのであれば、管理を不動産会社に委託するなどの方法もありますが、1件の不動産管理だけでは、割りにあいませんので、おすすめするものではありません。
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